つまり、オラが世界で一番好きなラーメンはもう二度と食えないということだ。
「新華園」も元気にやっているし、津波で親父さんが亡くなってしまった(実はラグビー関係者には一番人気の)「大連」も息子さん(?)が仮設で頑張っているそうだ。もちろん「昇華」も「こんとき」も大好きだ。
それでも、オラにとってのラーメンは、オラの心の中の釜石ラーメンは、「トントン」なんだ。
生まれて初めて釜石(親元)を離れ、大都会(!?)仙台で暮らすことになったオラが、まるでラーメンを食わなくなったのは、正直美味いと思う店が見つからなかったからだ。ラーメンは各地で郷土料理みたいになっているので、地元が仙台の人に「美味いラーメンがない」なんて言わなかったけれど。
「トントン」は帰って来ない。たぶん復活することはないんだろう。詳しくは知らない。よくTVで「あの東日本大地震津波の後、みんなのためにあきらめず再起したのが○○食堂です!」などという特集をやっているが、それはごく一部の運や金銭的余裕に恵まれた(もちろん努力もしただろう)人達なんだよ。
静岡に来てから出会った親友がラーメン屋をやっている。釜石ラーメンとは対極にあるこってりとした天一系のとんこつ醤油ラーメンだ。つけ麺がまた激烈に美味い。チャーシューはデカくて食べごたえ十分。
そいつの作るラーメンだけは淋しい気持ちにならず、心豊かに食える。何故かって?釜石ラーメンとは全然違うからさ。
実はその店には、もうひとりオラが大好きな男が働いている。ちょっと変わってるかもしれないけど、今までに会ったことのないタイプの素晴らしいヤツだ。席数7~8席の小さなラーメン屋に(こっちが勝手に思っているだけかもしれないが)親友と呼べる人間が二人。
きっとオラはめちゃくちゃ運がよく、自分の能力や中身に比べてめちゃくちゃ恵まれているんだろうな。