暁の合唱

 暑い暑いとみんなぼやいているけどいいこともあるよな。ほか弁がいつまでも温かいとか。なんだかなぁ。

 あまりに暑くて蝉が静かだ。実は蝉ってホントに暑い夏の盛りというより少し涼しい位の方がよく鳴く気がするよね。芭蕉の「閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声」は今の暦だと7月上旬、山形の立石寺辺りではまだ本当に暑い時期じゃない。句そのものもいかにも涼しげだし。

 オラが生まれる30年以上前に、この句(閑けさや~)の蝉を斎藤茂吉氏が「アブラゼミ」だと言い、小宮豊隆氏が「ニイニイゼミ」だと噛みついて有名な「蝉論争」が起きた。オラはそれを斎藤茂吉氏の息子である北杜夫氏の「ドクトルまんぼう昆虫記」で読んだ。

 茂吉氏は何度も立石寺に足を運んで調べ「やはりあの句の蝉はニイニイゼミだ」と敗北宣言を出すのだが・・・。

 ここから杜夫氏の言葉。

「茂吉が敗北を認めたのは、甚だ稀有なコトである。彼はケンカとなると、つまらないコトでも炎のごとくいきり立ち、『オレと戦う者は必ず死ぬ』などと穏やかでないコトを喚き、そのとおり相手を打ち負かした」

 うむ、その茂吉氏が白旗を上げたんだから、相当どうしようもなく「ニイニイゼミ」だったのであろう。 

 「ヒグラシ」の鳴く鳳来寺山に今夏のうちに行ける可能性は限りなく0に近い。忙し過ぎるのだ。疲れ切った身体を横たえ、目を閉じて遠くから聴こえる「ヒグラシ」の声を想像する。

 あの鳳来峡、乙女沢の奥にひっそりと佇む不動明王様にもう一度お会いしたいな。あの日は「ヒグラシ」の声が「ドーンコーラス」のように空から降り注いでいた。

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by livehouse-uhu | 2018-08-10 15:35 | Comments(0)  

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