八木山幻想Ⅲ
東勝山の菊水荘(古風な名前だな~。温泉旅館みてぇ)に引っ越してからは、二部屋だったし、釜石から例の(?)巨大なステレオ、セントレートS8Dを友人の軽トラックで持って来たり、閉店したパブ「ポパイ」の備品だった椅子やテーブル果てはパブミラー(!)などをもらい受けて部屋に置いていたが、八木山双葉荘には本当にあきれるほど何も無かった。
コタツ(テーブル)とテレビとギターと麻雀牌。大学、全然行かなかったなぁ。
それなのに、調味料と香辛料だけはずらりと並べていた。台所、とさえ言えない狭い「流し台」に。
コリアンダー、フェンネル、クローブ、カルダモン・・・カレー屋か!?いや、実際カレーばっか作ってた。他の部屋の連中が飯だけ持って食いに来たり。
先輩の岡本さん、石川さん、後輩の加藤、みっそぅ(最後まで本名を知らなかった。大学の時の友人ってそういうヤツ何人かいるよね)、工藤、杉山、横浜、臼木、みんな貧乏で(そりゃだからこそアパートのレベルが一緒)、バイトばっかりしてて、半分以上は留年か中退した。確率高!
夏の夕暮れ、ほか弁を買って外でビールを飲んだ。騒ぎ過ぎて隣の民家のおばさんに怒られた。迷惑だっただろうなぁ。でも近所の人達も優しかった。
ふと思った。オラ、あれからずっと何十年も「アパート暮らし」なんだな。まあサラリーマンの頃はバブル期だったし、とんでもない家賃のマンション(会社持ち)にも住んだけど。あれだって単なる賃貸住宅だからな。
アパートのプロ。ん?貧乏のプロと同義語?
by livehouse-uhu | 2016-05-28 09:31 | Comments(0)