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武士は言挙げをせず

  自衛隊が60周年記念式典を中止した際、「官邸サイドの意向だったのでは」などの憶測が飛び交った。まさに「下衆の勘繰り」という言葉がぴったり当てはまる。

 「広島の土石流災害では隊員が未だに活動中ですし、天皇皇后両陛下もご静養を取り止めた現状を鑑みて、この時期にお祝い事は適切でないと判断しました」

 「あくまで式は歴代の防衛相、長官など身内が参加するもの。外部の方々を招くレセプションとは重要度が異なるため、10月の観閲式に統合することにしました。総理の訓示もそこで頂くことになっています」

 これが防衛省の説明である。60年も命をかけて国を守り、国民を守り、自らはまるで日陰者のように顕彰もされず、ひたすら縁の下の力持ちとして頑張り続けた人々は、「自分で自分を褒める」ことさえ潔しとしないのだ。

 東日本大震災の災害派遣時、陸上自衛隊員は、野外炊具1号改で炊いた温かいご飯を全部被災者に配り、自分達は冷たい缶めしと缶詰のおかずを食べていた。そういう人達なのさ。

 おむつや粉ミルクを私物として被災地に持ち込み、上司にとがめられて「自分が使います!」と答えた隊員。

 「そうか」と返事をした上司。

 24時間で3時間の休憩を取りながら、お年寄り2名を抱えて瓦礫の中を突き進んだ隊員。

 自衛隊が救助した人の数はほぼ2万人。収容したご遺体は9000体以上。頼みがある。もっと報道してくれないか。



    秋津島 大和の国は 神からと 言挙げせぬ国 然れども 我は言挙げす

                               「万葉集」

 
 
 そうだね、恋した時くらいはみんな(隊員達も)言挙げしてもいいと思うよ。

by livehouse-uhu | 2015-04-02 21:32 | Comments(0)  

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