歌会始の儀

 来し方に本とふ文の林ありてその下陰に幾度いこいし

 皇后陛下のお歌である。まあ、もう、なんというかね。いや、なにもいえないというか。

 たとえばある思想信条のために「皇室など大嫌いだ」という方がいたとする。それはそれでひとつの考え方であり、それを他人に押し付けない限りまったくの自由である。

 しかし、もしその方が(たとえば詩人であったりシンガーソングライターであったり)日本語を愛し、大切にし、日本語で何かを伝えようとしている人間だとしたら、これほどのお歌、これほどの魂に出会って何も感じないはずはない。

 「嗚呼、そうだ、何度本に救われ、何度本に泣いたことだろう。嗚呼、そうだ、本の中はまるで森や林のようだ」と思うに違いない。

 言霊とは、そういうもの。小さな人間の揺れやすい心を動かしてしまう。そしてそういう言霊を紡ぐ人がいる。オラのような才能のない人間は羨むしかないが、それでもたくさん創っていればいつかは(ほんの数人でも)気に留めてくれる人もいるものだ。

 昨夜、近藤さん岡本さん古明地さんに「海の記憶」を褒めていただいた。望外の幸せ。LIVE、素晴らしかったです。またお会いできる日まで。



 やまとうたは 人の心を種として 万の言の葉とぞなれりける

 世の中にある人 ことわざ繁きものなれば 

 心に思ふ事を 見るもの聞くものにつけて 言ひ出せるなり

 花に鳴く鶯 水に住む蛙の声を聞けば 

 生きとし生きるもの いづれか歌をよまざりける

 力をも入れずして天地を動かし 目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ

 男女のなかをもやはらげ 猛き武士の心をも慰むるは 歌なり

                                   「古今和歌集仮名序」
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by livehouse-uhu | 2015-01-15 10:16 | Comments(0)  

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