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遠くゆったりとした揺れ

 今日こそ「ジャパンカップ戦記」を書こうと思っていたらまたまた東北で強い地震があり、親の無事は確認出来たもののどうにも不謹慎で書きにくい。間が悪いわ。

 友人達は大丈夫だろうか。なにしろよく動く大地だ。

 タイトルは、揺れ方が静岡ではそんな感じ(あの3・11の時も)だったのだ。なんか北杜夫の「白きたおやかな峰」みたいだな。

 だから不謹慎だろ。

 「白きたおやかな峰」の舞台となったカラコルムのディラン峰は、1968年に登山界の常識を破る速さでアタックをかけたオーストリア隊にその処女を捧げるまで何人もの登山家の命を奪い続けた。いかな恐るべき魔女だったのかは、初登頂後さらに10数年も人間を寄せ付けなかったことからもわかる。

 北杜夫氏は医師として小谷隆一隊長率いる京都府山岳連盟カラコルム登山隊に同行した。コックは地元で雇われた元ハイポーターのメルバーン。

 どんな料理にもギーと呼ばれる香りの強い油を入れ、とてつもない量の食事を作って残されると不機嫌になるメルバーンは、屈強なドイツ隊や装備の立派な英国隊に比べていろんな意味で貧弱な日本隊を揶揄した後でこう言うのだ。

 「ハート、イチバン。ニホンタイ、イチバンツヨイ」

 雪とガスに煙るディランの頂上に消えた仲間を待つラストシーン、そのメルバーンが・・・すまんすまん、書き過ぎた。

 北先生、オラもトーマス・マンが大好きでしたよ。今頃語らっていますか。

by livehouse-uhu | 2012-12-07 20:19 | Comments(0)  

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