七ヶ浜の海の家Ⅱ

 いくらなんでも前回のタイトルは不親切だった。

 七ヶ浜町は仙台市から車でおよそ30分ほどの海辺の町。仙台圏最大の海水浴場である菖蒲田浜は東日本大地震津波で大きな被害を受け、今年(7年かかって!)ようやく完全復活し、またたくさんの人や歓声があふれる日が帰って来た。

 30数年前。東京から戻ったオラは、復学したはずの大学にもいかず、相棒のミッキーと青いトラックでちり紙交換をしていた。ミッキーの歌は掛け値なしの天才、そこにオラのセンスが加わればあっという間に売れてトラックなど売り払い、フェアレディかセリカかシティターボでツアーに出られると思っていた。ま、ミッキーは運転免許を持っていなかったんだけど。

 だが、夏の暑さの中、仕事も人生もその場しのぎの二人組はすぐに住宅街を流すのをやめて菖蒲田浜海水浴場に向かってしまう日々。ビキニで戯れる同年代の若者たちを横目で見ながら、砂浜でダラダラ寝転がってくだらない話をした。あ、ついでだけどミッキーは泳げなかったのね。海と市民プールが大好きだったのに。

 そこには一軒の海の家。おきまりの「カレー」「かき氷」「ラーメン」そして「焼きそば」。オラとミッキーはポケットの中の小銭をかき集め、焼きそばを頼んだ。

 「う、う、うめぇ!!」

 「ほんとだ!何だこの味。こんな焼きそば食ったことねぇよ」

 「おっさん!おっさんただもんじゃね~な!?この焼きそば、普通の料理人が出せる味じゃ・・・」

 「ふっ。わかるかいお客さん。あんたらもただの海水浴客じゃねぇな。仕方がねぇ。何を隠そう、おれっちは元帝国ホテ・・・いや、なんでもねぇ。忘れてくれ。ただの海の家のオヤジさ・・・」

 永遠に記憶に残る「実話」(親父の話が、ではなく、こんなことを言い合うバカどもがこの世にいたというそのことが)である。

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by livehouse-uhu | 2017-08-06 19:45 | Comments(0)  

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